糖尿病の薬にはどんなものがあるの?(注射薬編)
糖尿病のインスリン注射には種類があるって聞いたけど、どんな違いがあるの?インスリン以外にも糖尿病の注射薬はあるの?
みなさまこんにちは。管理人のジローニです。
前回は糖尿病の内服薬についてでしたが、今回は注射薬について見ていきたいと思います。
内服薬に比べると使う機会はほとんどないと思いますが、効果の長さの違いや組み合わせでいろんな種類があります。また、インスリン以外の糖尿病の注射薬も見ていこうと思います。
糖尿病の注射薬
注射薬は大きく分けて「ヒトインスリン製剤」と「インスリンアナログ製剤」、それと「GLP-1受容体作動薬」とその「混合製剤」に分かれます。
インスリン注射をしてると聞くと「だいぶ症状が悪くなってるの?」って思われる方もいらっしゃると思いますが、実はそうではないんです。インスリンを出す臓器である膵臓が疲れ切ってしまうのを防ぐため、早期にインスリン注射を導入することもあるので安心してください。
また、Ⅰ型糖尿病の方にはこのインスリンが必ず必要となります。
ヒトインスリン製剤
インスリンの存在は1921年に発見され、研究が進み牛や豚などの膵臓から抽出されたものが糖尿病患者に使用されていました。その後技術が進み「ヒトインスリン」と呼ばれる、人と同じ構造の製剤が作られるようになりました。
また、その中で作用時間の違いで速効型・中間型とその混合型に分かれます。
速効型インスリン:追加分泌を補う
30分くらいで作用が表れるので、食事の30分前に注射します。
最も効果が出るのは注射後1~3時間で、食事を摂ることで分泌されるインスリンを補います。
以前はこのタイプしかなかったのですが、お仕事をされている方など「食事の30分前」という注射タイミングが難しく低血糖を起こす方もいらっしゃいました。
・ノボリンR注(フレックスペン):インスリン ヒト
・ヒューマリンR注(ミリオペン、カート):インスリン ヒト
★R:レギュラー(本来のインスリンの意味)
中間型インスリン製剤:基礎分泌を補う
注射後1時間半くらいで作用が表れ、最も効果が出るのは注射後4~12時間となります。
効果は約24時間続くので、インスリンの基礎分泌(食事を摂らない時でも一定量のインスリンが膵臓から出ている)を補います。
・ノボリンN注(フレックスペン):イソフェンインスリン ヒト
・ヒューマリンN注(ミリオペン、カート):イソフェンインスリン ヒト
★N:NPH(Neutral Protamine Hagedornの略)
混合型インスリン製剤:追加分泌と基礎分泌の両方を補う
ヒトインスリン製剤の速効型と中間型が合わさったもので、両方の特徴を併せ持つ製剤。
速効型の割合が製品の数字となっています。
・ノボリン30R注(フレックスペン、イノレット):インスリン ヒト[速効型インスリン:中間型イソフェン インスリン=3:7]
・ヒューマリン3/7注(ミリオペン、カート):インスリン ヒト[速効型インスリン:中間型イソフェン インスリン=3:7]
インスリンアナログ製剤
インスリンアナログの「アナログ」とは「似せたもの」の意味があり、インスリンの構造を変更した製剤になります。今まであったヒトインスリンをより使いやすくするために、効果が出る時間を早めたり、ピークのない製剤が作られています。
超速効型インスリン製剤:追加分泌を補う
食直前注射タイプ
効果が表れるまでの時間は10~20分くらいと早いため、食直前に注射します。
最も効果が出るのは注射後1~3時間で、食事を摂ることで分泌されるインスリンを補います。
「ヒトインスリン製剤の速効型」は食事の30分前に注射しないとけなかったが、こちらは食直前に注射するタイプなので使いやすくなっているのが特徴です。
・ノボラピッド注(フレックスペン・タッチ、イノレット、ペンフィル):インスリン アスパルト
・ヒューマログ注(ミリオペン、ミリオペンHD、カート):インスリン リスプロ
・アピドラ注(ソロスター、カート):インスリン グルリジン
・インスリン アスパルトBS注ソロスターNR「サノフィ」、カート:インスリン アスパルト
・インスリン リスプロBS注ソロスターHU「サノフィ」、カート:インスリン リスプロ
食事開始の前 2分以内~食事開始後 20分以内 注射タイプ
上記の「食直前タイプ」のものよりもさらに効果が出るのが速いのが特徴。
なんと言っても食事を開始しても20分以内であれば使用できるので、食前に注射を忘れてしまっても途中で思い出せば使用することが出来るというメリットがあります。
・フィアスプ注(フレックスタッチ、ペンフィル):インスリン アスパルト
・ルムジェブ注(ミリオペン、ミリオペンHD、カート):インスリン リスプロ
持効型溶解インスリン製剤:基礎分泌を補う
効果が表れるまでの時間は1~2時間で、作用が24時間(トレシーバは42時間)と長く続きます。
インスリンの基礎分泌(食事を摂らない時でも一定量のインスリンが膵臓から出ている)の代わりとなります。
ヒトインスリン製剤の中間型に比べ、効果のピークの山が小さくなり低血糖が起きにくくなっているのが特徴です。
・レベミル注(フレックスペン・イノレット・ペンフィル):インスリン デテミル
・トレシーバ注(フレックスタッチ・ペンフィル):インスリン デグルデク
・インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」・カート:インスリン グラルギン
・ランタス注(ソロスター、カート):インスリン グラルギン
・ランタスXR注ソロスター:インスリン グラルギン
・インスリン グラルギンBS注キット「FFP」:インスリン グラルギン
混合型(二相性インスリン製剤):追加分泌と基礎分泌の両方を補う
インスリンアナログ製剤の超速効型と中間型が合わさったもので、両方の特徴を併せ持つ製剤です。
超速効型の割合が製品の数字となっています。
・ノボラピッド注30ミックス注(フレックスペン・ペンフィル):インスリン アスパルト[超速効型:中間型=30:70]
・ノボラピッド注50ミックス注(フレックスペン):インスリン アスパルト[超速効型:中間型=50:50]
・ノボラピッド注70ミックス注(フレックスペン):インスリン アスパルト[超速効型:中間型=70:30]
・ヒューマログミックス25注(ミリオペン、カート):インスリン リスプロ[超速効型:中間型=25:75]
・ヒューマログミックス50注(ミリオペン、カート):インスリン リスプロ[超速効型:中間型=50:50]
配合溶解インスリン製剤:追加分泌と基礎分泌の両方を補う
インスリンアナログ製剤の超速効型と時効溶解型の製剤が合わさったもので、両方の特徴を併せ持つ製剤です。
・ライゾデグ配合注(フレックスタッチ):インスリン アスパルト[超速効型] + インスリン デグルデク[持効溶解型](3:7)
★★★《低GIのスイーツ・お菓子》はこちらですよ~ (^^♪ ★★★GLP-1受容体作動薬:インスリンを出すタイプ
この薬剤は以前に書いた「飲み薬」の所でも出て来ましたね。
食事を摂ることで小腸より分泌されるGLP-1というホルモンが膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを分泌するんでしたよね。GLP-1受容体作動薬はこのGLP-1というホルモンと同じ作用をするため、膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。
また、このホルモンは吸収が悪く、分解されやすいという特徴があるため、まずはこの注射剤が先に開発されていました。Ⅱ型糖尿病の方が適応になり、毎日使用するものと週1回の注射で良いものがあります。
・ビクトーザ(リラグルチド):1日1回 朝or夕
・リキスミア(リキシセナチド):1日1回 朝食前
・バイエッタ(エキセナチド):1日2回 朝夕食前
・ビデュリオン(持続性エキセナチド):週1回
・トルリシティ(デュラグルチド):週1回
・オゼンピック(セマグルチド):週1回
配合薬
・ゾルトファイ配合注(フレックスタッチ):インスリン デグルデク[持効溶解型] + リラグルチド[GLP-1作動薬]
・ソリクア配合注(ソロスター):インスリン グラルギン[持効溶解型] + リキシセナチド[GLP-1作動薬]
以上、現在使用されている糖尿病の注射剤でした。
薬剤の効果時間や成分の違いなどでたくさんの種類があり、はっきり言って頭の中がグチャグチャです(笑)
もう一回、勉強しなおしときます…
みなさんのお役に立てれば嬉しいです。