糖尿病の薬にはどんなものがあるの?(内服薬編)

2022年7月21日

血糖値を下げる薬をもらっているけど、知り合いの人とは別のものみたい。あの人の方が数値の下がりがいいみたいなんだけど、どんな違いがあるの?

みなさまこんにちは。管理人のジローニです。
糖尿病の薬はいつの間にか種類が増え、薬の作用する場所・効き方などとても複雑化してきています。
そのせいでお薬の説明も難しくなり、説明を聞いても理解しにくく… なんかとりあえず薬を飲んでるって方が増えているんじゃないですか?ここで一度、糖尿病の薬について整理してみたいと思います。
糖尿病の薬には大きく分けて飲み薬と注射薬がありますが、今回は飲み薬について見ていこうと思います。


糖尿病の内服薬(飲み薬)

ほとんどの方はまずこの内服薬から開始になると思われます。
薬剤の種類によって服用する回数・服薬のタイミングなどが変わってきます。
種類もたくさんあるので、一つずつ見ていこうと思います。
なお、薬品名は「先発の商品名(一般名)」で書いています。ジェネリック品の場合は、この「一般名」の部分を参考にしてご覧ください。


スルホニル尿素(SU)薬:インスリンを出すタイプ

スルホニル尿素(Sulfonyl Urea)剤は略してSU(エス ユー)剤と呼ばれ、膵臓のβ細胞に作用しインスリンを出す効果があります。そのため血液中の糖が取り込まれ血糖値が下がるのですが、食べ過ぎていたりすると取り込まれた糖のせいで体重が増えてしまうことがあります
また、血糖値に関係なく薬を服用することでインスリン分泌させるので、低血糖に注意する必要があります。

・アマリール錠・OD錠(グリメピリド):1日1 朝食前or後 ~2回 朝夕食前or食後
・グリミクロン錠・HA錠(グリクラジド):1日1 朝食前or後 ~2回 朝夕食前or食後
・オイグルコン錠(グリベンクラミド):1日1 朝食前or後 ~2回 朝夕食前or食後


速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬):インスリンを出すタイプ

お薬の効き方としてはSU剤と同じですが、SU剤に比べて薬の効果が出るのが早いため「食事の直前に服用」するのが特徴です。
こちらも同じく低血糖に注意が必要な薬剤になります。

・シュアポスト錠(レパグリニド):1日3回 毎食直前
・ファスティック錠(ナテグリニド):1日3回 毎食直前
・スターシス錠(ナテグリニド):1日3回 毎食直前
・グルファスト錠(ミチグリニドカルシウム水和物):1日3回 毎食直前

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ビグアナイド薬:糖新生を抑制し、インスリンの働きを良くするタイプ

小腸からの糖の吸収を抑えたり、肝臓での糖新生(乳酸などの糖質以外から新しく糖を作る)を抑えます。また、筋肉などでのインスリンの効果を強める作用もあります。
インスリンを出すタイプの薬ではないので、この薬単独では低血糖を起こしにくく、体重も増えにくいという特徴もあります。

・メトグルコ錠(メトホルミン塩酸塩):1日2~3回 食前or食後
・グリコラン錠(メトホルミン塩酸塩):1日2~3回 食後
・ジベトス錠(ブホルミン塩酸塩):1日2~3回 食後

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チアゾリジン薬:インスリンの効き目を良くするタイプ

Ⅱ型糖尿病ではインスリン抵抗性(インスリンの効き目が悪くなる状態)により、インスリン自体は出ているのに血糖値を下げることができないことがあります。このインスリン抵抗性を改善して血糖値を下げるお薬です。
インスリンを出すタイプの薬ではないので、この薬単独では低血糖を起こしにくくなっています。
副作用でむくみ(浮腫)が出ることがあるので、急に体重が増えたり、足のだるさが出ることがあれば医師や薬剤師に申し出てください。

・アクトス錠・OD錠(ピオグリタゾン):1日1回 朝食前or後


α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI薬):糖の吸収を緩やかにするタイプ

炭水化物は小腸でα-グルコシダーゼという酵素によってブドウ糖に分解された後に吸収されます。
α-グルコシダーゼ阻害薬はこの酵素の働きを抑えることで、糖の分解・吸収を遅らせ、血糖値の上昇を緩やかにします
このタイプの薬は食後の血糖値が高い方に有効で、「食事の直前に服用」するのが特徴です。飲み始めの頃にお腹の張り・オナラがでる・下痢をするなどの症状が出ることありますが、しばらく続けることで改善することが多くあります。
また、この薬単独では低血糖を起こしにくいのですが、他の薬剤と併用し低血糖が起きた場合には必ずブドウ糖で糖分補給を摂るようにしてください。ブドウ糖以外のものでは糖の分解・吸収が遅らされているせいで、低血糖を速やかに改善することができないので注意が必要です。

・グルコバイ錠・OD錠(アカルボース):1日3回 毎食直前
・ベイスン錠・OD錠(ボグリボース):1日3回 毎食直前
・セイブル錠・OD錠(ミグリトール):1日3回 毎食直前

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DPP-4阻害薬:インスリンを出すタイプ

食事を摂ると小腸よりGLP-1というホルモンが分泌され、それが膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを分泌します。DPP-4(ディー ピー ピー フォー)はこのGLP-1を分解する酵素で、このDPP-4の働きを抑えるのがDPP-4阻害薬です。
つまり、DPP-4阻害薬によってインクレチンの効果が長く続き、それによりインスリンの分泌量を増やす事ができます。また、インクレチンは食事を摂ることによって分泌されるため、この薬単独では低血糖を起こしにくいのが特徴です。

・ジャヌビア錠(シタグリプチンリン酸塩):1日1回
・グラクティブ錠(シタグリプチンリン酸塩):1日1回
・エクア錠(ビルダグリプチン):1日1回 朝、1日2回 朝夕
・ネシーナ錠(アログリプチン安息香酸塩):1日1回
・トラゼンタ錠(リナグリプチン):1日1回
・テネリア錠・OD錠(テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物):1日1回
・スイニー錠(アナグリプチン):1日2回
・オングリザ錠(サキサグリプチン水和物):1日1回
・ザファテック錠(トレラグリプチンコハク酸塩):1週間に1回
・マリゼブ錠(オマリグリプチン):1週間に1回

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GLP-1受容体作動薬:インスリンを出すタイプ

食事を摂ると小腸よりGLP-1というホルモンが分泌され、それが膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを分泌するんでしたよね。GLP-1受容体作動薬はこのGLP-1というホルモンと同じ作用をするため、膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます
胃からの吸収が悪く、消化酵素ですぐに分解されてしまうため以前は注射薬のみでしたが、吸収促進剤と組み合わせることで内服薬とすることができました。
また、「起床時(空腹時)」に服用することと「120mL以下の水」で服用しないといけないという特徴もあります。普通は「多めの水で飲むように」と言われるのに、この薬剤に限っては多すぎるとかえってダメなんですね~

・リベルサス錠(セマグルチド):1日1回

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SGLT2阻害薬:糖を排出するタイプ

SGLT2(エス ジー エル ティ ツー)は腎臓で糖の再取り込みに関係しているタンパク質です。SGLT2阻害薬はこのたんぱく質の働きを抑え、糖をおしっこ中に出すことで血糖値を下げる薬です。なので尿糖は陽性になりますが、糖尿病が悪化しているわけではありませんので心配はいりません。
糖とともに水分も出すので脱水と、膀胱炎などの感染症にかかることがあるので、こまめな水分補給をしておく必要があります。また、この薬はインスリンと関係なく血糖を下げます。

・スーグラ錠(イプラグリフロジン L-プロリン):1日1回 朝食前or後
・フォシーガ錠(ダパグリフロジンプロピレングリコール):1日1回
・ルセフィ錠(ルセオグリフロジン水和物):1日1回 朝食前or後
・デベルザ錠(トホグリフロジン水和物):1日1回 朝食前or後
・カナグル錠(カナグリフロジン水和物):1日1回 朝食前or後
・ジャディアンス錠(エンパグリフロジン):1日1回 朝食前or後

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ミトコンドリア機能改善薬:インスリンを出す+糖新生を抑制し、インスリンの働きを良くするタイプ

そして最後に今までの糖尿病薬と異なる構造で、「ミトコンドリア」へ作用し血糖に応じてインスリン分泌を促したり、インスリン抵抗性を改善(筋肉での糖利用促進や肝臓での糖新生を抑制)することで血糖値を改善する新しいタイプの薬剤です。
ちなみにミトコンドリアとは細胞内にある小器官で、糖などからエネルギーを作り出すのに関与しています。「パラサイト・イヴ」は、このミトコンドリアが人類へ反乱するというSFホラー作品だったんですが、みなさん覚えてますか?著者が東北大学大学院薬学研究科に在学中に作った作品で、第2回日本ホラー小説大賞を受賞。小説から映画化、ゲーム化と大ヒット… っと話がそれてしまったので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。

・ツイミーグ錠(イメグリミン塩酸塩):1日2回 朝夕

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配合剤

以前は1錠に1つの成分だけでしたが、今では複数の成分が1錠にまとまった薬剤も出てきています。これを使うことで1回に服用する錠数を減らすだけでなく、お薬代を節約することも可能となります。

・スージャヌ配合錠:DPP-4阻害薬 + SGLT2阻害薬 1日1回 朝食前or後
・メタクト配合錠:チアゾリジン薬 + ビグアナイド薬 1日1回 朝食後
・ソニアス配合錠:チアゾリジン薬 + SU薬 1日1回 朝食前or後
・カナリア配合錠:DPP-4阻害薬 + SGLT2阻害薬 1日1回 朝食前or後
・リオベル配合錠:DPP-4阻害薬 + チアゾリジン薬 1日1回 朝食前or後
・イニシンク配合錠:DPP-4阻害薬 + ビグアナイド薬 1日1回 食直前or後
・エクメット配合錠:DPP-4阻害薬 + ビグアナイド薬 1日2回 朝夕
・グルベス配合錠・OD錠:速効型インスリン分泌促進 + α-グルコシダーゼ阻害薬 1日3回 毎食直前


以上が糖尿病に使われる薬の内服薬編でした。いろんな種類がありましたね~
それぞれに特徴があり、一人ひとりに合った薬を処方してもらうこととなります。
それにしてもジェネリック医薬品まで出てくると、名前を覚えるのが大変です(汗) ふぅ…

次回は糖尿病に使われる薬の「注射薬編」を書いてみようと思いますので、お楽しみに~
みなさまのお役に立てれば嬉しいです。


健康,

Posted by ジローニ