糖尿病ってなに?血糖値が高いだけじゃないの?
「このままだと糖尿病になるよ」って先生に言われたけど、糖尿病ってどんな病気?血液検査もしたけど、ヘモグロビンなんとかって聞いたことのないのだった…
みなさまこんにちは。管理人のジローニです。
今までは、血糖値が高めの方向けの記事だったのですが、今回からは「糖尿病」について書いてみようと思います。
わが国の糖尿病患者は平成9年度に行われた厚生省「糖尿病実態調査」によれば、糖尿病が強く疑われる人は690万人、可能性を否定できない人を含めると1,370万人と推計されている。1980年~90年代の疫学研究によれば2型糖尿病の新たな発症は40才~65才の一般住民1,000人・年あたり6-8人と報告されている。軽症の耐糖能異常であっても累積死亡率は健常者に比較して2倍以上である。
この試算によると、現在の増加傾向がそのまま続くと仮定した場合、10年後の糖尿病有病者は男性約520万人、女性560万人、合計1,080万人となることが予想される。
厚生労働省HP 健康日本21(糖尿病より抜粋)
だいぶ前のデータですが、このように糖尿病は増加の一途をたどっています。糖尿病という病気は血糖値が高いという以外はあまり知らない方も多いのではないでしょうか?そのまま放っておくとどうなってしまうのでしょうか?
今からでも遅くありません。一緒に勉強していきましょう!
糖尿病ってどんな病気・症状なの?
「『糖尿』病って書くから血糖値が高くて、おしっこから糖が出てるんでしょ?」と思っていたあなた…
答えは「ブー!」です。おしっこから糖が出ていなくても糖尿病のことがあります。
「『血糖値が高い』と言われたら… 下げる方法は?」に書いてあるようにインスリンの出が悪くなったり、効き目が悪くなることで血糖値が高い状態が続き糖尿病になってしまいます。初期の頃はほとんど自覚症状はなく、ひどくなってきて「ノドがやたらと乾く」「おしっこが近い」「体がだるい」などの症状が出てきます。そして、その状態を長く放置しておくことで血管に障害が起き、さまざまな合併症が出るようになります。
合併症の中でも「三大合併症」と呼ばれるのがあり、それが網膜症、腎障害、神経障害です。網膜症では失明したり、腎障害では血液透析をしないといけなくなったり、神経障害では手足のしびれや感覚障害が起きてしまいます。そのせいで生活の質(QOL:Quality of Life)が落ちてしまうことになるのです。
そして感染症にかかりやすくなることと、血流障害により足などに壊疽(えそ:細胞組織が死に、黒く変色した状態)を起こし、最悪切断しないといけなくなるということも…
いや、大げさに言ってるんじゃなくて患者さんの知り合いにも足の切断をされた方がいらっしゃり、きちんと治療を受けておけばよかったと大変後悔されているそうです。
このように、糖尿病は「いかに合併症を起こさないようにコントロールするか」が最も重要となります。
どんな検査があるの?正常値は?
「糖尿病」かどうかは血液検査によって診断されます。
血液検査の結果が…
・血糖値(空腹時≧126mg/dL、随時≧200mg/dL、OGTT2時間≧200mg/dLのいずれか)
・HbA1c≧6.5%
の時、下の図ように分類されます。
なお「OGTT」とは経口ブドウ糖負荷試験のことで、75gのブドウ糖水溶液を飲み2時間後までの血糖値を測定するものです。通常であれば60分前後をピークとしてそれ以降は血糖値が下がっていくのですが、インスリンの分泌・もしくは効きが悪い場合はそれ以降も血糖値が下がらずに高い状態を維持するようになります。
HbA1cってなに?血糖値とどう違うの?
まず血糖値からですが、これは採血した瞬間の血液中の糖(グルコース)の量になります。だから、お腹がすいているときは低いし、食後は高くなります。ということは、血液検査の数日前から食事に気をつけておけばある程度は下げることができます。健康診断の前だけ頑張ればごまかすことができるということです。
それに対してHbA1c(ヘモグロビン エー ワン シー)は「糖化ヘモグロビン」とも呼ばれ、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンにどれくらい糖が付いているかを見ています。実はこのヘモグロビンの寿命は約4ヵ月で、どんどん新しいものに生まれ変わっています。さらに一度糖が付いたものは離れることは無いので、この数値を見ることで直前1~2ヶ月の血糖の状態を知ることができるのです。
つまり、HbA1cを見れば「この1~2ヶ月きちんと努力していたか」がわかるので、数日のあいだ頑張ったとしてもごまかすことは出来ないんですね~
ちなみに先ほど書いた糖尿病の合併症を起こさないために、まずはHbA1cは7%未満にすることが大切になります。実はHbA1cが7%を超えると合併症が起きる確率が上がってしまうんです。
確かに正常値の範囲内に入れることが理想ですが、合併症を起こすことで生活の質(QOL)を落とさないことが最重要になってくるので、まずはこの「7%未満」を達成できるようにしましょう。
糖尿病の原因は?治療法は?
糖尿病の治療は食事・運動療法が基本になります。これで改善が見られないときに薬物療法が開始となります。
食事・運動に関しては「血糖値を下げる食べ物・飲み物、サプリはあるの?」「血糖値を下げる運動はどんなのがある?」を参考にされてください。ちなみに、病院で治療を受けている方は血糖に関するサプリメントの併用には注意してください。同じような効果の薬剤を服用しているため、サプリの効果が期待できなかったり、血糖値が下がりすぎて健康被害を起こす可能性もあります。一度、医師や薬剤師に確認されるようにしてくださいね。
薬物療法には大きく分けて内服薬と注射薬があります。
内服薬にはインスリンが出るようにするもの、インスリンの効きを改善するもの、食べたものの糖の吸収を緩やかにするもの、血糖の取り込みを改善するものなどがあり、注射薬には血糖を下げるホルモンのインスリン自体(効果の長さによって種類がある)や、インスリンを間接的に出すタイプのものがあります。
薬剤に関しては長くなるので、また別に書きたいと思います…
糖尿病のⅠ型、Ⅱ型って何が違うの?
みなさんは聞いたことありませんか?糖尿病にはⅠ型・Ⅱ型があるって。何が違うんでしょうか?
Ⅰ型は自己免疫疾患(自己の免疫細胞が、自分の細胞を敵と間違って攻撃する)などにより膵臓のβ細胞が破壊されインスリンが出にくく、もしくは出なくなることによって起きた糖尿病。
Ⅱ型は食べ過ぎや運動不足などの生活習慣や遺伝が原因でインスリンが出にくくなったり、効き目が落ちてしまい起きた糖尿病。
つまり、ほとんどの方がⅡ型ということですね。
治療法もⅠ型とⅡ型で変わってきます。Ⅰ型はインスリンを出す能力がない(もしくはほとんどない)ので、膵臓の代わりに直接インスリンを注射するしかありません。Ⅱ型の方もインスリンを注射することもありますが、内服薬での治療が中心となります。
グルコーススパイクってなに?抑えるにはどうしたらいい?
グルコーススパイクという言葉は聞いたことがない方がほとんどだと思います。自分たちも説明することはあまりないのですが、せっかくなので…
グルコース(糖)のスパイク(とがった形、とげ)。つまり食後に血糖値が急激に上がり、それに合わせてインスリンが大量に分泌されるために今度は一気に血糖値が下がる状態を言います(上のグラフのピンク線)。一見、インスリンも出てるし血糖値も下がってるので問題なさそうに見えるのですが、このような状態を繰り返すことで血管がダメージを受けてしまい動脈硬化の原因となります。そしてこれが心筋梗塞や脳梗塞などに繋がってしまうのです。
血糖値のコントロール不良が心筋梗塞や脳梗塞などにも関係しているなんて… と思ったでしょ。糖尿病の方は脂っこいものが好きな方も多く、このように血管に問題が起きやすい方が多いと思います。
これを抑える方法は「『血糖値が高い』と言われたら… 下げる方法は?」にも書いたのですが、血糖の上昇を抑える方法と同じで食事と運動が基本になります。ゆっくり食べる、野菜中心に食べるなどを心がけると良いでしょう。
普段の血糖値を知りたいけど、病院にいかないと無理なの?
「病院に行かないと血液検査が出来ないから、普段の血糖値はわからないよね…」
いえいえ、自分で測定できる「自己血糖測定器」というものがあります。消毒したのち自分で穿刺(針を刺し少量の血液を出す)し、血糖測定用のセンサーに血液を吸わせることで数秒で結果が出てきます。なんだか簡単に出来そうですよね。測定器種類もたくさんあるので、自己血糖測定器・その使い方についてはまた今度、別に書いてみようと思います。
この血糖測定器はある程度の金額するのでみなさんにはオススメしませんが、インスリン注射などを使用中の方には公的医療保険が適用される場合もあるので、一度病院で相談されてみるのも良いでしょう。
また、病院でやっている血液検査とほぼ同じように、コレステロール値など様々な項目が自宅で検査できるキットも売られてようです。なかなか健康診断に行くことのできない方はこのようなものを活用するのも良いかもしれませんね。
★★★《血糖測定器の一覧》はこちらですよ~ (^^♪ ★★★ ★★★《自宅で完了!血液検査キットの一覧》はこちらですよ~ (^^♪ ★★★糖尿病にならないためにはどんな予防・対策をしたらいい?
糖尿病にならないためには血糖値のコントロールが重要となります。
となるとやっぱり、普段の食事・運動が大切なんですよね… もう何度も出てきているので見飽きたかもしれませんが、実際それしかないんですよね。
外食やお弁当だけでなく、自宅での食事も昔に比べカロリーが高くなり、さらにお菓子・ジュースやスイーツ類などの誘惑… 我慢しろという方が無理なのかもしれませんが、体に入ってくる糖や「カロリーを減らす」、もしくは「運動でその分を消費する」しかありません。
今は便利な世の中で、バランスの取れた冷凍おかずというものもあります。カロリーや塩分もしっかり考えられているので、糖の数値が気になる方でも安心して食べることが出来るんです。
血糖値をコントロールするには近道はなく、毎日の積み重ねしかないんです。未来の自分のために頑張りましょう!
それでも間食をしたいんだけど…
それでも誘惑に勝てないという方もいらっしゃると思います。何を隠そう、自分もその中の一人ですからご安心を…
ちなみに自分は、ガムを噛んでみたり、炭酸水(糖分の入っていないもの)を飲んでみたりしてごまかしています。それでも我慢できないっ!そういう時こそ「血糖値を下げる食べ物・飲み物、サプリはあるの?」に書いたように「GI値の低いもの」や、「特定保健用食品(トクホ)」「機能性表示食品」の中にある血糖値の上昇を緩やかにするおやつを選んでみるといかがですか?
上手く活用することで糖のコントロールをしながら間食を楽しむことが出来るのではないでしょうか…
今回は「糖尿病」についてでした。
「食欲」は人間の三大欲求の一つです(残り2つは「性欲」と「睡眠欲」)。これを抑えることはとても大変なことだと思います。でも、上手くコントロールすることができれば、より良い生活を送ることができます。そのためにちょっとずつでも頑張ってみませんか?
みなさんの励みになれば嬉しいです。